暴力的な白の中、ホカホカ汁物

TCKによる元・留学ブログ。夢を手放して色んなことをリハビリがてらやりたいな

アイヌ文化フェスティバル行ってきた

入場無料の太っ腹。

たまたまTwitterのプロモーションツイートが流れてきて知りました。
というかそれ以外で全く見かけなかったんだけど…
というか会場のきゅりあん(建物の名前?)に着いても一切案内がなくて、
「ほんとにあんのかなこのイベント?」
とか思ってたんだけど…せめて他のコンサートのポスターみたいにロビーやエレベーター裏にポスターはればいいのに…

会場は8階の大ホール。ハイパー構造が分かりにくい建物で、エレベーターも何種類かあって八階に直行しないエレベーターしか見当たらなかったんだけどまぁ今回はたまたま私が日本語読めたので無事にホールにたどりつけました。日本語わからないのに同行者なしで日本にわざわざ来る人って本当に中々いるもんじゃないと思いますよ。それでもたくさんいるんだから世界ってほんと広いなって。

イベント案内の載っている公式HPにすらきゅりあんのどこでやってるのか分かりませんでした。見落としてだだけなのか?
とりあえずイベント名「アイヌ文化フェスティバル」でツイート検索したら、フェスティバル関係者のツイートに「8階」と書いてあったのでそれを頼りに。

開場から間もなくだったようで他の参加者も「ここかな…?あ、ここだ」って素振りでした。

まだそこまで各体験に人が並んでるわけでもないのか。でもゴールデンカムイのパネルを撮るにはちょっと人通りがあるなと思う程度にはいる。パネルはいつでもいいのでまずアイヌの服を着てみる体験のところに並びました。

薄い外套のようなものを試着。慌ててカバンおいたりして脱ぎそびれたコートの上から羽織らせてもらったのでパツパツでした。写真をスタッフさんに取ってもらったところ、後ろ向きの時に「はい腕広げて~」と指示がありました。(なんでだ…?)近くで見て触れるってなかなかないな~と思いつつ、ただ見ても何か違いがわかるほど服飾関連の知識も感性も無いのでそのへんはもったいなかったのかな。でも鋭い観察眼無しでもとても綺麗だったよ。ていうか着心地よさそうなので普段着に欲しかった。これが、着物をバスローブに変えた欧米人の発想なのかな…?

試食コーナーは閑散としていたので「え、もしかして瞬殺?!」と思ったら違ってた。ふぅ。待ってる間に展示パネルの説明を読んだり、展示品を写真におさめたり、木彫りや刺繍の実演用ブースを見たり。着物の展示のところでは特にケースにいれるでもなく目の前に置いてあったので結構みんなぺたぺた触ってたんだけど、時折スタッフが注意していました。そういうのは言われないとわからないから最初から注意書きすればよいのではないかな。

結構本格的な絵本をフリー配布してました。まじかよ!太っ腹すぎる!セール品に群がるような空間がそこに。私もそそくさと頂戴して安心したものの、その次は絵本配布のテーブルの後ろにかかっている展示パネルが読みたくなる。でも人が多くて読めない。別の人が溜まりにくいところに置けばよかったのではと思いつつ後で戻ってから読みました。

後に配布開始した食品は芋団子のようなもの。ヨモギいりとジャガイモ入りの二種類があったようで、私はヨモギ入りをゲット。ホクホクとモチモチの中間みたいな感じでおいしかった。意外と脂っこくて、コンビニの食べ物とかにありそうな感じだった。昼ごはん食べずに開場から閉場の間いたので貴重な食糧となりました。二種類両方ゲットしようとしていた人の気配があってちょっとその辺の空気が凍ってました。

常時中央のTVで流していたのはアイヌ民謡や民話のアニメ。日本語字幕付き。もしやと思ってテレビの下に置いてあったDVDのパッケージのタイトルをYouTubeで調べてみたら同じアニメをいくつか発見できました。多分主催の団体の公式アカウントが投稿したやつかな?なんかロボアニメみたいなタッチの面白いアニメがあったから後で見てみる。

VRでバーチャル観光してみようみたいなのもあったけど長蛇の列だったので諦め。

アイヌ語ラジオ講座のサンプル音源と教材冊子があったのでペラペラ見ながら音声を再生してみる。ラジカセの使い方がよくわからない上に序盤の日本語での挨拶が長くて後ろに並ぶ人が気になりだしたので結局アイヌ語練習パートを聴く前に席を立ちました。番組を調べればリアタイでラジオ聴けるのかな?

そうこうしているうちに疲れてきたので、奥の舞台みたいなところに入ってみた。何か映像が流れていて、人々が観劇みたいに席に座っていた。映像はオシャレな観光PRビデオみたいなノリのPR映像でした。結構かっこいい映像だった。

英語ナレーションの映像が流れてたり、フリー冊子コーナーで英語の小冊子があったりしていたけど、そのほかが全て日本語で紹介されてるのに意味あるのかな?と思ったり。まぁ小~中規模のイベントだしそういうもんか?

そしてステージプログラムが始まる。校長先生の話みたいなやつから始まり、次にイベントの目玉と思われる、漫画ゴールデンカムイアイヌ語監修を務める教授の講演。話の内容は概ねメモをとったけど、どっちみち後でその辺の大部分をカバーする書籍が出てくるようなのでメモは打ち出す必要なかろう。どこまでがリアルでどこまでがギャグなのかをいくつか話していただけてよかったです。そしてアニカムのフチの声はアイヌ語ネイティブに近い人にやってほしかったな…という思いが一層強くなりました。

次のステージイベントは阿寒湖のコタンの人たちの楽器演奏、歌、舞踏、民謡?など。阿寒湖コタンは最大規模で、飲食店やお店の営業もしている唯一のコタンだみたいなこと言ってた。進行役のおじさんも人前でしゃべることに慣れていたように見受けられたので、確かに観光客の相手は慣れているのかなと思いました。

琴のようなものの弾き語りは民謡かな?プログラムパンフレットに日本語訳とカタカナでのアイヌ語表記があったので、それをわずかな明かりを頼りに目で追いながら聞いていました。途中声がとまったりフレーズを飛ばしている箇所がいくつかあって、アドリブとかなのかなーと思いました。カタカナだけだと実際の感覚ってよくわからないので、カタカナとあわせて声を聴くのとてもよかったです。

おじさんによると、アイヌの舞のほとんどは奉納舞踊だとか。でも娯楽舞踏もあるんだって。印象強かったのはお盆を投げ合う踊り。木彫りのお盆を女性二人が音楽にあわせて投げたり受け取ったり、投げなかったり。投げるフリをしてなげないのを数回繰り返すのがお約束のようで、その間は観客皆首が動いてましたね。感覚としてはゴールデンカムイ16巻の140pあたり(158話)みたいな感じ。「投げる!…あぁ…投げる!…あぁ…投げた!」みたいな。ちなみに最後の投げでは右側の人が落としてしまってお盆が欠けました。おじさんの〆の紹介によると、元々子供が家の道具を投げ合う遊びだったものが踊りになったんだとか。落としたら負けのゲームだそうです。ついでに言うとこのお盆、おそらくガラスケースに展示されていた木彫りのお盆と同じコンセプトの道具です、多分。そこのキャプションでは「[…]おみやげとしてたくさん作られました。アイヌの人たちの日常生活では使われていません。」と書いてありました。それってつまり売り物を投げ合って遊んでいたということかな?子供は恐ろしいことするよね…!落とすというオチもあり、結構インパクトありました。

口琴演奏では二人組が可愛い音、不思議な音、かっこいい音、を巧みに使い分けビブラートを奏でていました。ぼよよん。そのあとは先着順に入場配布されていた口琴をみんなで演奏しよう!というコーナーも。舞台上での説明の他、数名が客席に降りていったようですがもちろん広い会場ですので近くで見れたのはわずかでしょう。ほとんどの人は「説明早い!というかわからない!見えない!」とざわつきつつ紐をぴんぴん引っ張っていました。そして早速一般人を上にあげるコーナー。まず挙手して舞台に上ったのがおじさん。「ずいぶんと自信満々なおっさんきたよ~」と思っていたら司会のおじさんも似たようなこといっててワロタ。その男性は一度びよんと鳴らしたあとは成功せず。まぁ難しいしそんなすぐにできる人いないだろーという空気が漂う中、次は若めの大人の女性が挙手。若い人が積極的に出てきて司会のおじさんも喜ぶ。びよんびよんといきなり音を出し会場が盛り上がりました。そしてその後はさらに若い人が登場。元気なお子さんが舞台に上りほほえましくなったところで会場にとどろくビブラート!なにこれうますぎる?!びよよよよんびよよよよん……何度か違う音の出し方を試しては会場を沸かせるニューホープ。これは大物になるぞ…!大盛況となったのでした。

最後には檀上にあがりたい客おいで~みんなで輪になるよ~みたいな感じで輪になって踊るやつで〆。最初は恥ずかしいのかポツポツとしか人が来ず、でもだんだん人が増えて多分20~30人くらいは上にいったのかな?客席のみんなも踊ってネみたいなノリだったのでみんなで踊った…けど結局客席狭いし、大人がプリキュアの映画見に行っても思い切り手を振ることなどできないみたいになってました。楽しかったよ!(後ろの席の人たちがステージに上った一般人の服装などに言及しだしてついそちらの会話が気になって一般人のほうばかり見てしまった…あまり見ることのない衣装だからコタンの人の方を見たかったのだけども…ww)

最後は「またお会いしましょう」をアイヌ語で全員で言いながら幕が下りました。子供の叫び声や大人の遠慮がちだけど楽しかった気持ちを隠せないような和やかなハーモニーでした。ステージで横一列になってた人たちの手ぶり(おそらくさようならやありがとうの意味のジェスチャー)を真似してみたり。

コタングループの実演パートは全体的に手拍子もなんでもOK!とにかく楽しんでって!なノリだったのでわりと手拍子なども盛んだったけども私は音に集中したくて手拍子しませんでした…上から見て「反応薄いな~」とか思われてたらちょっと申し訳ないな。眩しくて見えないかな?

ステージプログラムが終わった時点でほぼ他の体験ブースも終わっていたのでとりあえず流しっぱなしのDVD見てました。

 

 

 

ちなみに、主な参加者は日本人の(和人かアイヌかは見た目ではわからないので…)中年~高齢者。あとそこそこの若者と、少し親子連れ。若者は私みたいなオタクのゴルカムファン風の雰囲気の人が多かった。というか見た目で日本人ではなさそうって感じの人は覚えてる限りではいなかったな。多分いたと思うけど。スタッフに長話をけしかける大人が割といたのを目撃し、(これ話しかけられる側はめんどくさそうだな~)とか思っていた。多分私が緊張していたから。(イベント自体はわりとのほほんなイベントでした)

私はエスニシティや人権や社会的圧力について繊細になる機会が多い人間なので、そういった視点で何か得られるものがあるかなと期待して来たわけです。ですが素人によるそういう姿勢をほぐしてエンタメに浸すイベントだったなという印象でした。(だって目で見たものからどうやって自分の抱える議題に繋げていくかなんて素人が考えてもよくわからないしね…)趣味で博物館めぐりする時と似た気持ちにさせてくれたわけです。でもこれでほんとにいいのかなぁ~?!って気分になって、むしゃくしゃしたので帰りにおやつかって帰った。